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現在、同様の後継blogは

 「地上に雨の降るごとく。」

で展開中です。

そのうちきちんと整理する予定です。よろしくです。
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 大学中休みの8月15日午後3時。
 JR川崎駅前にあるミューザ川崎ホールは満員の盛況。

 フェスタサマー・ミューザkawasaki の最終日でした。

 7月末から始まって、私は基本的に首都近郊楽団を中心に聴いたので、ほとんどが月末月初で終わっていたのですが、最終日とあって参上。


 2010年8月15日(日)15時 ミューザ川崎
 東京交響楽団
 曲目/ドビュッシー:「牧神の午後」への前奏曲、ラヴェル:ピアノ協奏曲、ベルリオーズ:幻想交響曲
 演奏/管弦楽:東京交響楽団、指揮:飯森範親、ピアノ独奏:横山幸雄

 良い演奏会でしたね(^.^)。
 東響さんというのは最近、めきめきと実力Up中というちまたの評判ですが、なかなかそれを具現させてくれるような演奏でした。
 弦管のバランスが良いですし。オープニングの時も思いましたが、高弦が非常に美しいのですね。特にこのドビュッシーの冒頭は本当に美しく、めったに聴けぬ素晴らしい「牧神…」でしたですよ。
 ラヴェルは面白かった。横山さんというのはほんにヴィルトゥオーゾだと思いますが、こういうしゃれっ気のある曲をしゃらりんと弾いてしまうところ、さすがです。それに彼のアンサンブル力の高さというのも、ぴたぴたと嵌っていく音が気持ちよいのでした。

 ベルリオーズ。
 個人的には聴く機会の非常に多い曲ですが、どうもベルリオーズというのはハマらない私です。よく出来てる、天才、聴きやすい、素晴らしい! と頭では思うのですけどねぇ、世が“名曲”というだに、、、?? ところが、この日、初めてこの曲を「良い曲だぁ」と思ったのです。何故でしょうねぇ? 本来ならそのあたりを紐解いて書くべきなんでしょうが。ともあれ、「良かったです(^.^)」ということで満足しておきたいと思います。

 ミューザkawasakiのフェストについては、次号の『音楽現代』に載る予定です。。。文字数と担当、まだかな?(^_^;)??
 にしてみました。
 タイトルは「kozanji_kyoihei」となっていましたので、「こうざんじ」というお寺さんでしょうか? 幕末にちなんだ場所を巡っておられる方のテンプレート作品です。

 涼しそうですよねー。
 今日はまたAプロをやっているに違いないけれども、ダブルキャストでの二期会の公演『ファウストの劫罰』の、Bキャストの方に行ってきた。

 もともと物凄くワタシ的に注目筋のスタッフ・キャスト構成で、これはもう行くしかなかろうと思っていたところへの主役・樋口達哉さんのインタビュー(2号前=『音楽現代』5月号にプレビューやりました)が来て、しめしめ、と思い、いろいろ面白い話も聞けて、の本番。
 幸いにもその日が見られて幸甚である。

 2010年7月16日(金)14時開演(ウィーンの珈琲店さんがスポンサードに付いて、他の日より4,000円も安い。ただし平日マチネになるのだけど)。東京文化会館

   ベルリオーズ:ファウストの劫罰

 オペラなのだけどね。本当にオペラではなくて、普通はコンサートオペラ形式でやるのだそうだ。
 詳細は後述、(すみません手抜きで)ですが、ともかく主役の2人も演出も衣装やダンスや照明も素晴らしかったですよぅ。
 特に、マルガリータの林正子さん。最高だった。彼女が歌う場は空気が確かに変わる…あぁいい歌手になったなぁと思う。立ち姿も美しく気品がある。もともと大柄でしっかりとしたプロポーションの(日本人離れした)持ち主で、このまま行けばたいした歌手になるでしょう。
 彼女はデビューの頃から知っていて、一時期う~ん、どうかなと思った時期もあったのですが、ここのところとてもよいらしい。そう聞いていた。このオペラは凄かった、いやもう絶賛したいと思う。

 ファウストの樋口さん。声が素晴らしいですね。良く解釈し、最初の歌「これにすべてが…」と仰っていたそれはなかなか味わい深かった。難しいものをよくこなされ、老博士の所作なんか(歩き方とかね)すごく研究しておられたと思う。
 だがやはり彼の真骨頂は、あの明るい伸びやかなテノール、相手役を泣かせてしまうというような演技だろう。演奏としてはほぼ完璧に素敵だったが、硬さはなんだったんだろう? 初日の緊張!? ラブシーンと第4部の森のシーンなんかはとてもとても素敵だったが。
 あとの男声2人も良かったなぁ。ストレスのない歌が聴けた(むずかしいのにね)。

 オーケストラは健闘してらっしゃいました。金管・木管・弦楽器、それぞれに和声や音の作り方、丁寧で素晴らしい。だが、本来、東京フィルが持っているはずの歌を歌わせる音楽、が感じられなかったのは何故。ぎこちなかったよねー、というような感じがして。かなり特に前半はリズムの躍動感とか、ベルリオーズの複雑な音回しなどが感じられず、安全運転なのかなーと思ったり。
 クライマックスのシーンなどでも、なんかちょっと違う。音量ではなく、ね。歌を歌わせ、踊りを躍らせる音楽というのかな。それは東京フィルさんのお得意だろうと思うんだけど。

                 ・・・
 大島さんというのはやはり天才だと思った。賛否両論はあろうけれども、オペラの中にあれだけのダンスを混ぜながら、オペラの邪魔をしない「引き算」は確かに演出家だろうと感じられる。
 特に前半は、音楽を舞踏という体や動きで具象化することで、よりその世界が明らかになり、またそれがとても美しいのだ。第1部第2部は本当に素晴らしく、残念だったのは最後のシーンのダンスはさすがにちょっとうるさいかなと感じられたくらいで。
 ファウストとメフィストフェレが救出に向かうシーンの演出は奇をてらったところはないがとてもSFぽくて良かったし。素晴らしい舞台時間を過ごした。

 1階20列14番。
 日本フィルの6月定期。指揮者は井上道義氏。
 楽曲が、安倍圭子さんをソリストに擁する、伊福部の「ラウダ・コンチェルタータ」であるとすれば、これは聴かないわけにはいかない。誰かの言葉ではないが、もうこれは「演奏していただけるだけで、ありがたいことです」です。
 
 日本フィルハーモニー交響楽団 第621回定期演奏会(at サントリーホール)
   指揮/井上道義 マリンバ独奏/安倍圭子 演奏/日本フィル
   曲目/伊福部昭:「ラウダ・コンチェルタータ」、ストラヴィンスキー:交響曲 C、「火の鳥(1919版)」

 定期の持っているチケットを友人に譲ってしまったので(ぜひ聴いてもらいたかったわけです)珍しく、ご招待券を使わせていただき、LB5列の9番、という超お気に入り席で堪能♪ 感想はまた、のちほど書きますが、本当に、(金曜の夜は定演後、必ず集まるメンバーと必ず行く飲み屋で飯を食うわけですが)酒が旨かった♪
 メンバーには「明日も来たまえ」とゆわれておりますが、明日は朝7時から新国立劇場に並ぼうかどうしようか迷うところです。師匠とは連絡取れないしなぁ(;_;)。えーん。

                 ・・・
曲はマイナーといえる曲かもしれません。

 1曲め。あのゴジラの伊福部昭の名曲。このマリンバ協奏曲はもう四半世紀、彼女が持ち曲として世界中で演奏し続けてきたわけで、伊福部先生(母校の学長だったので敢えてそう呼ばせていただく)と安倍さんの名とこの曲は一体化して伝えられて残るのだろうなと思います。…新作や現代音楽というものは、演奏され、演奏され続けることが必要なんですよね。かの名曲、バッハの「マタイ受難曲」が、メンデルスゾーンが再演するまで10年間埋もれ続けていたように。

 私は15年前に、それの「第100回目の」演奏会を目の前で聞きました。東京文化会館の大ホール。マリンバの前を跳ねながらリズミカルに動く肢体と、それそのものが大地のエネルギーを伝え演奏する姿にまるで巫女の奉納舞だと思ったのは私だけではなかったようです。伊福部の音楽の凄さは、そのメロディとリズム感、なんというかうまくいえませんが。日本人の血を熱く沸かせるような力を持つ音楽というのは彼の前にもあとにも存在しないようにも思っています。大地の魂(エネルギー)を感じるのです。特にこの曲はそれが顕著な気がして、ただしこの曲が伊福部の代表作か、というと曲の作りからはそうはいい難いのではありますが。
ヤマトのファンの方々でしたら、絶対に、ずんとくるものがある。

 演奏の間中、わけのわからない涙がぽろぽろと流れて仕方ありませんでしたね。音楽というのは抽象的だけにいろいろなものを包括する。老いた痛々しさと同時にそこから発せられる明るい凄さは、若い頃に拝見したときのような切羽詰った気力はなく、ただ曲と一体化したある種の悟りのようなものを感じました。もちろん技術的な衰えはピアノや指揮や弦楽器と異なり、これだけの運動量と反射神経を保つだけでもタダビトではないと思わせられる、納得の演奏だったと思います。
 その激しいアクションと両手に2本ずつ持ってマリンバを叩く安倍さん・・・どう考えても60代後半のはずだがと思っていたら、みっちーの言で70歳は過ぎておられることが判明しました。です。そのパワーと気力、音楽性。巫女ではなく今日は卑弥呼でしたね。もちろん若い頃のような躍動感はありませんし技術の衰えは仕方ありませんが
それにも増してよくなったところもあり、また別の世界が広がっているようで。もしかするとそろそろ彼女にとって最後の「ラウダ・コンチェルタータ」になるかもしれない。日本フィルの人たちも、一体化し、素晴らしい音楽を奏で、これは日本フィルの良さを指揮者がよく引き出した演奏だったと思われました。

               ・・・
 ストラヴィンスキーの2曲。
 交響曲inCは、なんでまたこんなマイナーな曲を(笑)。曲目解説によると伊福部とストラヴィンスキーを関連付けさせてそれに関係の深い曲をと読み解きたかったのだろうが、プログラム構成としては大変に面白く、個人的には近頃の日本フィルの中でも好みのプログラムです。
 またたまたま偶然だが、後半2曲は、演奏したことあります(笑)。譜面がよくわかって面白かった(思い出もある。あぁぁあそこで苦労したよなーとか、ホルン・ファゴットに「ちゃんと吹けよ」とか思ったしなぁとか、、、余談ですがこの日のホルンはF川氏で、たいへんに素晴らしかった)。演奏している分には旋律やテーマが断片的に現れそれが構成されていく、というシベリウス的な(<だからうちのオケでやったんだな)構成なので、弦楽器の内声など弾いているとたいへんにわかりにくい。でも本当はシンプルで洒落た曲なのである。演奏者はカタルシスを得にくいのだが、もっと取り上げられてもよいなぁとこの日の(なかなか素敵だった)演奏を聴いて思った。

 火の鳥。なかなか満足して終わりました。

 ちなみに座席はいつもと異なり、2F・LB 5列-9。たいへんに良いお席でございました(音も視界も)(_ _)