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 写真が間に合わないので、とりあえず文章だけ。
 2月21日(火)。キツかった今号の入校で未だ体調戻らず。のわりに取材はすでに週末からたくさん入っていて、コンサートにも行かなきゃ、である。

朝から室内楽の日。
ほとんど追っかけと化しているPhillias SQ フィリアス弦楽四重奏団の音教が表参道であるというので、出かけていった。ここんちは小学校の授業で講堂での演奏だが、媚びた曲目は演奏せず、前回もたしかハイドンのSQを全楽章、とかだった。子どもたちが集中して聴いているのはすごい。
今回はヴォルフとモーツァルト。リハーサル中に訪ねたら、ふわんとまとまった音が体育館に響いて、これはまたと驚く。ウィーンで演奏した成果なのか、時が経ってきたためか、カルテットとしての音ができてきたように思うのは考えすぎ?
 ファーストの田中裕の音色がとても日本人離れしていて--ついでに言うなら、N響そのものの人なのに、ぜんぜんN響の音じゃないのはどういうことよ、とか思いながらいつもこのカルテットを聴く。
 ヴォルフの上手さと、モーツァルトは、なんだかもうすっかり体の一部になっているようで、今さらながらに、これだけきちっとモーツァルトのトニックが鳴るチームも珍しいんじゃない、と感動。それにやっぱり、上手いわ。を、そのテンポで行くかなフーガでも、ちゃんと走らず、揃うだけでなく歌うし。名人芸の内声と、音色豊かな外声と、で極めてモーツァルトっぽいディベルティメントに満足した。

        ・・・
そして取材を挟んで夕刻。
トリトン。。。第一生命ホールで、ゲーデ・トリオ&後藤泉のピアノ四重奏を聴く。
なんと絶品のモーツァルト。ピアノカルテットの第1第2とか、あまり興味のある曲ではないのだが、本当にホームミュージックのように作られたためか、“ちょっと合わせて遊ぶ”なんていうのに気軽に演奏できて、何度か弾いたことがあるのだ。
だけどしかし。音の少なさと、シンプルにモーツァルトなので、という理由で。演奏会で演奏として聴かせるのは非常に難しくて、だがこの第1番が素晴らしく良く。こんなに弦楽器の音色に溶けるピアノは初めて聴く--ボウイングを合わせるんだと本人は言っていたけれども、そんな、ピアノ。和音が変わる時の音色の変化や、音楽の言葉を交し合う4人が、とても心地よく、どこかの家庭に招いてもらった賓客のような心持になって、香りの良いモーツァルトを聴いた。
 シューマンは、名曲。意見はいろいろあるだろう、私ももちろん、ある。天才で、最後はおかしくなっていった常人ならぬシューマンは、この日は立ち現れず、だがしかし。やはりシューマンはシューマンで、第三楽章のチェロには泣けた。いやだいたあの旋律は泣けるんだけれど、淡々と。あのテンポで、何も思い入れを敢えて語ろうとせず、静かに。そして間を紡ぐヴィオラの音楽と、あくまでも降るように泳いでいくヴァイオリンと、その間を、雨のようにピアノが埋める。なんと緻密で、幸せなシューマンだろうと、聴いた。
 アンコールもまた選曲が、良い。また聴きたいと思わせるピアノカルテット。次はフォーレかブラームスが聴きたいなぁ。
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