fc2ブログ
2006.07.23 大野和士
縁がない、、、。
実はけっこうなファンなのに。毎年、来日のたびに券を買ったり予定をしているというのに、聴けないのは何故(さすがにルネは少し高かったので行かなかった…仕事にするには切り口がちょいと合わず、オペラはなかなか誌面で取り上げにくい)、
今回は3回チャンスがあったというのに3回とも×(>_<)。
一番悔しかったのは、都響-庄司沙矢香の「火の鳥」&ショスタコである。完売滑り込みで買っておいたんだけど、体調不良で×。12人チェロのリハの時に、舞台裏で同じプログラム聴いたけど、、、悔しい。
そして、21日東京フィル定期のベルリオーズ「ロメオとジュリエット」である。仕事が終わらず、出だし5分遅刻。入れてもらえなかった。四楽章あるし第一楽章と第二楽章の間に間隙があるので、そこで入れる、と思ってたら。「終演までロビーです」と言われ、ふん、と思って帰りました。あとで会場で聴いた知人が私のメールを見て問い合わせてくれたそうで、先方と押し問答になったらしく「そういうお客様はいらしていただかなくて結構です」だそうで、この後の定期演奏会をいったいどうしろというのだ。…と一人悩む私。で、人の気持ちとして某フィルを紹介する機会は減るんだろうなぁ。今度、団員さんに会ったら愚痴ってみよう、と思う私は性格が悪いだろうか。
... 続きを読む
スポンサーサイト



シモン・ゴールドベルク、というヴァイオリニストが記憶に鮮明だ。
私自身は面識がないまま、亡くなられてしまったが、7月19日はその命日だ。日本で…富山の立山国際会館という、定宿というか住まいにしていたホテルで、朝、美代子夫人とリサイタルのためのリハーサルを数時間、ブラームスのヴァイオリン・ソナタを弾いた後だったそうだ。
 その頃のことは(時系列はごっちゃになってしまったが)よく覚えている。知人が交誼があった。その夜だか次の日だかに連絡があって「心温まる、葬儀だった」と仰っていた。その、彼を心の師と仰ぐ人々との交流を聞いていたので、一人電話のこちら側で泣いた記憶がある。
 生演奏を聴いたことはないのだが、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの全集CDは自分にとってこの曲の刷り込みだったりもした。

 そのゴールドベルク山根美代子夫人にインタビューに伺ったのは、9月に富山で《こしのくに音楽祭》が開催されるからだ。ゴールドベルクの数少ない弟子たち…すでに生きた伝説でもあるイダ・ヘンデルや、ヴェスナ・スタンコーヴィチュ(ウィーンのフォルクスオパーのコンサートマスターだそうだ)らが来日し、室内楽のマスタークラスやセミナーが行なわれる。
 美代子先生は、ご自身非常に魅力的な方だが、2人の出会いを「これまで音楽で求めてきたことの回答を得たような気がした」と仰った。東京のご自宅(レッスン室)で、未発売の、ゴールドベルク指揮のハイドンの交響曲などを聴かせていただいた。終電ぎりぎりまで話し込み、さてどのように記事にしようかと悩んでいる。
 ともあれ、9月に現場には行ってみるつもりだ。
2006.07.18 12本の奇跡
この団体を生で聴くようになってどのくらいになるだろうかとふと思った。何度かお会いし、メンバーたちの顔と名前も一致し。半年に一度くらいは日本かベルリンかで逢っているような気のする人々。
そして、やはり。聴くたびに“奇跡と立ち会っている”としか思えない瞬間の継続の時間である。
だいたい、このレベルのチェリストが12人揃っているだけでも驚きなのに。それはベルリン・フィルだから、という一言で解決してよいものなのだろうか? 生み出されるフレーズの一つ一つが生きており、一人一人に目をやればその弓はまるでひらめくように柔らかく動き、自在に音を生み出す。チェロという楽器がまるでもう一つの自分の体でもあるように、また12人がそれぞれ12人として個性を殺さず、しかもこの息の合いようというのは何なのだろう。
グリッサンドの音のつながりまでがまるで一人の人の作る三度の和音のようで、また時にオルガンのように、笙の響きのように鳴る。チェロという楽器を超越しているとでもいったらよいのだろうか。

まるで語るように音楽を奏する彼らは、プロモーションビデオの中でファウストが語っているように、「祈りであり歌」形を超越しているものを託せるのだという。
クラシックからクロスオーバーまで。アンコールで奏された「荒城の月」や「ピンクパンサー」は彼らの十八番だが、時にまるで映画の効果音のような音も出す。口笛吹いたり楽器の背を叩いたり、足踏みまでするのだけれども。チェロの可能性はまだまだあると自ら掘り起こしているようだ。

12人チェロの演奏をしている時の彼らは常に楽しそうで、また自己主張が強い人々だから、それぞれ主張はする。だが音量のバランスといいソロの受け渡しといい、主旋律や対旋律の対比といい、文句なく。
ただ私たち聴衆はそれを受け取り、楽しめば良い。

終演後、Sehr shoene Konzartと言ったらDanke shoneと本当に嬉しそうに笑った。

最後にサプライズがあった。3曲のアンコールのあと、ファウストが立ち上がりマイクを持って、トイチュは本日が最後のコンサートだ、と。ため息と拍手。もうじきだろうとは思っていたが、本日今夜だとは。日本での演奏が最後になる…30年以上、ベルリン・フィルに在籍し、12人チェロの創立メンバーとしてその栄光の一翼を担ってきた彼。花束と同僚たちと、日本のファンたちの声援に送られて。この後明日、ベルリンへ帰っていく。去るものもあり、時は過ぎても。伝統は受け継がれていきまた彼らは常に新しい伝統を生み出していくプロフェッショナルたちだと思う。

12cello_2
ということで、「よくしゃべる」リハーサル風景です。弾いている時間より打ち合わせている時間の方が長い(笑)。でも本番は素晴らしかったす

 日本フィルハーモニー交響楽団のソロ・コンサートマスター、木野雅之氏。…というお付き合いしかない。以前から存じ上げている方だが、このほど初めて、ご本人を単独取材した。本誌13号にその原稿は載ります(原稿はライター・Aさん:8月29日売)。

 ということで、7月16日、そのリハーサル現場にお邪魔。本番はライターさんにお任せしてしまったので、この日は桐朋学園でのリハである。
読響のソロ・コンマスの小森谷さんをソリストに立て、並んで弾いている様はなかなかめったに見られない風景。…とはいえ、「以前はよく一緒に演奏」されたんだそうな。環境抜群なスイスから東京のしかも有名な酷暑の日。汗拭き拭き演奏にまい進する彼ら。でも楽しそうに合わせている。聴きごたえのあるリハだった。
 スイスのイタリア語圏で活動しているルガーノ・カルテットは、チェロの山下泰資氏と木野氏の2人が日本人、タマス・マイヨル(ヴァイオリン)(おそらくハンガリー人)、エンリコ・バルボーニ(ヴィオラ)(イタリア人)の国際的カルテット。リハーサルも日伊英混ぜ混ぜ。
 ルガーノSQはコンセプトとして、イタリア物かイタリアに縁のある曲しか演奏しない、日本では2年に1度程度の頻度でコンサートを行なっており、固定ファンも多いそうだ。ベテランだけあり響きの重さや内声の充実などアンサンブルの妙を楽しめ、独特の音色を持った楽しいカルテットで、今後続けて聴いてみたい気になったことだ。
2006.07.15 チェロの俊英
…というタイトルだが、チェリストで最近出会う人って基本的に皆、俊英だったりする。若手の進捗が激しく、喜ばしいことだ。
辻本玲、門脇大樹、山上ジョアン薫、横坂源、、、趙静あたりまで含めるならなんか凄いぞ、若手は、ということになる。

それで、久々に心動かされる大器に遭遇。
「東京の夏音楽祭2006」というのが行なわれているが、その一環としてのリサイタルに登場したのが宮田大、桐朋学園のディプロマコースに在学中、である。てっきり外国暮らしだと思っていたら、日本の普通の若者、なんかどこにでも居そうなお兄ちゃん(で結構オシャレだったり)である。が、チェロ弾く時の音楽への入っていき方が、非常に心動かされる、それで出てくる音楽が深くて好み。技術に走らずじっくり音と向き合う様子が好ましかった。
 一流になる人に共通しているのが「とても謙虚」だということだ。若い演奏家はけっこう突っ張っていたりもする(俗に“男の子生意気”に見える)が、音楽に対してや周りの人に対しては非常に謙虚。取材をしたけどまさにそういう感じで、応援していきたいアーティストだ…とインタビューしたライターさんとしみじみ話したミーハーな私たちである。
というところに本日行ってきました。
月に一度くらい催しをやっていまして、いきなり九段下がイタリア? になっている場所です。地下二階になかなか素敵なホールがあり、音響も大きさもちょうどよい。
イタリアのオペラ劇場が現在来日中です。
その劇場の室内アンサンブル(木管+ピアノ2台)がモーツァルトのオペラの編曲ものと、プッチーニなどを演奏してくれました。
めっちゃ上手ですし、毎日一緒にピットの中で吹いてるだけあってアンサンブル抜群です。が、音が派手だ~。espressivoってこういう解釈なのね、イタリアの方は。木管アンサンブルといえばベルリンとパリ音楽院~な私にとってはなかなか新鮮でありました。

ところで面白かったのは、この明けて7月5日の朝4時から。
この文化会館ではサッカー・ワールドカップ イタリア-ドイツ戦を
皆でスクリーンで鑑賞して盛り上がる会をやるそうです。
3時半に扉が開いて、カプチーノとかパンとか出るそうなので
興味があってご近所の方は(だって始発動いてないでしょ)どうぞ。
ドイツ人も来るそうで(笑)。…私は行くとドイツの応援になちゃう。
久しぶりに周りで聞いたイタリア語はちんぷんかんぷんでした。

ともかく、楽しい人々です。
サボってしまった。
直前まで行く予定だったんだけど。仕事してたら途中でやめるのがしんどくなり、、、やはり終わらせてのんびり楽しむのが正しい。
…それに2日続けて定期演奏会っつのも辛いっすよね。
新曲は聴きたかったけど--仕事しよ。。。
ピアノ、という楽器。
ソロで弾く人が多かろうが、アンサンブルにも重宝だし、[雨]自身は伴奏する方が好きだった。今はぜんぜんピアノ弾けない(>_<)ので、とはいえ昔の話、だけどね(音楽関係者の間で、間違ってもピアノ弾いてましたなんて言うな、と上長に怒られた、、、そだよね。「弾く」っつレベルではありません、はい)。

伴奏法というのが日本でもちゃんとあるんだよ、と認識されてきたのは比較的遅いんじゃないかと思う。器楽とのデュオでも、「デュオ」じゃなくて「伴奏」、それはピアニストの方が相手とアンサンブルする時にどうあるべきか、ということをあまり学ぶ機会のないまま、音楽学校を卒業していく。…うん、普通にしているとそんな機会はなかったので、私も在学中はせっせと他科のレッスンについていったり、心ある先輩に教えていただいたり…乱暴だが現場で学んだりした。
それしか方法がなかった。
だって。合わせに行くと、ピアニストは「いきなり完成形」を求められる。じゃぁ、デュオで自分も発展途上のピアノ弾きはどうしたらいいんじゃい。

エリック・ル=サージュという室内楽の名手がおられますが。
とても好きなピアノ弾きで、パユとのコンビで有名。今年は協奏曲も弾くし(読売日響)、昨年はスーパーデュオで高い評価も得た。中村紘子さんが選ぶ「今聴きたい100人のピアニスト」にも選ばれていたし。
その彼が、来日の際にマスタークラスをよくやっていて、見に行くとそれだけでけっこう勉強になる。
彼だけじゃない。フランスではかなりきちんと学ぶ講座があり、先日6月30日、そこで学んだ藤田朗子さんが講師となり、新宿レプレで行われたのです。プレビューしたかったのですが、遅くなってごめん(>_<)。
この日忙しくなかったら私も受講したかった。
音楽の構造を学んだり音色の作り方など、実際にピアノを弾かなくても楽しめる授業、、であろうと思われる。藤田さんは芸大ピアノ科卒業後パリ国立高等音楽院伴奏科を卒業した本格派です。