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2006.07.18 12本の奇跡
この団体を生で聴くようになってどのくらいになるだろうかとふと思った。何度かお会いし、メンバーたちの顔と名前も一致し。半年に一度くらいは日本かベルリンかで逢っているような気のする人々。
そして、やはり。聴くたびに“奇跡と立ち会っている”としか思えない瞬間の継続の時間である。
だいたい、このレベルのチェリストが12人揃っているだけでも驚きなのに。それはベルリン・フィルだから、という一言で解決してよいものなのだろうか? 生み出されるフレーズの一つ一つが生きており、一人一人に目をやればその弓はまるでひらめくように柔らかく動き、自在に音を生み出す。チェロという楽器がまるでもう一つの自分の体でもあるように、また12人がそれぞれ12人として個性を殺さず、しかもこの息の合いようというのは何なのだろう。
グリッサンドの音のつながりまでがまるで一人の人の作る三度の和音のようで、また時にオルガンのように、笙の響きのように鳴る。チェロという楽器を超越しているとでもいったらよいのだろうか。

まるで語るように音楽を奏する彼らは、プロモーションビデオの中でファウストが語っているように、「祈りであり歌」形を超越しているものを託せるのだという。
クラシックからクロスオーバーまで。アンコールで奏された「荒城の月」や「ピンクパンサー」は彼らの十八番だが、時にまるで映画の効果音のような音も出す。口笛吹いたり楽器の背を叩いたり、足踏みまでするのだけれども。チェロの可能性はまだまだあると自ら掘り起こしているようだ。

12人チェロの演奏をしている時の彼らは常に楽しそうで、また自己主張が強い人々だから、それぞれ主張はする。だが音量のバランスといいソロの受け渡しといい、主旋律や対旋律の対比といい、文句なく。
ただ私たち聴衆はそれを受け取り、楽しめば良い。

終演後、Sehr shoene Konzartと言ったらDanke shoneと本当に嬉しそうに笑った。

最後にサプライズがあった。3曲のアンコールのあと、ファウストが立ち上がりマイクを持って、トイチュは本日が最後のコンサートだ、と。ため息と拍手。もうじきだろうとは思っていたが、本日今夜だとは。日本での演奏が最後になる…30年以上、ベルリン・フィルに在籍し、12人チェロの創立メンバーとしてその栄光の一翼を担ってきた彼。花束と同僚たちと、日本のファンたちの声援に送られて。この後明日、ベルリンへ帰っていく。去るものもあり、時は過ぎても。伝統は受け継がれていきまた彼らは常に新しい伝統を生み出していくプロフェッショナルたちだと思う。

12cello_2
ということで、「よくしゃべる」リハーサル風景です。弾いている時間より打ち合わせている時間の方が長い(笑)。でも本番は素晴らしかったす

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